その夜、ドジャースが失ったのは一つの試合だけではなかった。
    佐々木朗希の突然の負傷、大谷翔平が作った反撃、二度の満塁機逸、そして9回のサヨナラ負け。勝利へ何度も手を伸ばしながら、そのすべてが最後にはこぼれ落ちた。

    だが、本当の亀裂はスコアボードの外側で生まれていた。

    わずかxBA .030の打球。
    テオスカー・ヘルナンデスの守備が流れを変え、佐々木の失点は一気に4まで膨らんだ。たった一つのプレーが、負傷というアクシデントを「敗戦の分岐点」へ変えてしまった。

    そして試合後、物語はさらに重くなる。

    追加練習をめぐり、怒りの矛先は矢田修へ。
    ユニホームが投げつけられた瞬間、問題はもう守備ではなくなった。ミスなら練習で修正できる。だが、失われれた敬意と信頼は、同じ方法では取り戻せない。

    ロバーツが守ろうとしたのも、一人のコーチだけではなかった。
    「誰もチームより上にはなれない」――その厳罰が示したのは、優勝を目指す集団が最後まで守らなければならない“見えない一線”だった。

    野球では、落球は記録される。
    敗戦も数字として残る。

    しかし、本当にチームを壊すものは数字には映らない。

    問題は、次の試合でテオスカーが守れるかではない。
    ――壊れかけた「信頼」を、もう一度守ることができるのか、だ。

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